事業内容

(2)調査研究

(平成22年度)奈良県における農業の活性化策

日本の農業は、就業者の高齢化、耕作放棄地の増大、低い食料自給率、TPP問題など多くの問題をかかえているが、とりわけ奈良県においては、関係者が熱心に需要喚起や生産拡大に取り組んでいるにもかかわらず、昭和59年の692億円をピークとして農業産出額の減少は止まらず、平成20年の451億円の数字は全国で45位(下から3番目)にある。

一方において、農業の多岐にわたる可能性に着目して、全国各地で他産業からの農業への参入が見られるようになっている。これらの企業は、食の安心・安全に対する消費者意識の高まりなどを背景に、農業で儲かるビジネスモデルを確立しようとしている。このことを考えると「食と農に大きなビジネスチャンス」が潜んでいると言える。

一言で農業と言ってもその分野は多岐にわたるが、今回の調査研究対象は、特に「大和の伝統野菜」を取り上げた。「大和の伝統野菜」は、奈良県が平成17年に名付けた県産野菜のブランドで、古事記にも出てくる青菜「大和まな」など、「戦前から奈良県内で生産が確認されている品目であり、地域の歴史・文化を受け継いだ独自の栽培方法等により、『味・香り・形態・来歴』などに特徴を持つ」野菜として17品目が指定されている。これらは従来、作物商品としての換金性になじまないため一般の市場には出回らず、各地の菜園において、自家消費や一部の人々に供給されてきた。

報告書では、県内スーパーマーケットで実施した消費者アンケート調査の結果も踏まえて、大和の伝統野菜を含めた奈良県産野菜が、ブランド化戦略に基づいたマーケティング活動を展開することにより、地産地消として地域に根付き、さらに全国ブランドへの展開を促す方策について述べている。

具体的活性化策は、次の5つの分野で提言している。

①生産及び生産技術戦略の提言... 生産地発信!目に見える生産地

②加工技術戦略の提言... 加工で生まれる新たな価値

③チャネル戦略の提言... 多様なチャネルによる大和野菜のバリューアップ

④食サービス戦略の提言... 奈良産品ならではのうまいものづくり

⑤プロモーション戦略の提言... プロモーションミックスで買いたい特産ブランドへ

さらに長期的な活性化に向けて、ブランド化、奈良野菜協議会(仮称)の設置、農産物バリューチェーン・ファンドの設立、大和の伝統野菜の新しい認定基準案について提言している。

本提言を元に農業者や農業分野に関心を持つ企業の方々が、ビジネスチャンスを生かして新たな取り組みを開始され、奈良県経済の活性化・雇用拡大の一助になれば幸いである。

平成22年度調査研究資料
奈良県における農業の活性化策
H22_chousakenkyuu.pdf
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